一年中五月病

目に見えたものを言葉に

万引き犯に逃げられた

日曜日の20:30、バイト先のコンビニで万引き犯に逃げられた。

”逃げられた”というよりは”捕まえられなかった”の方が正しいかもしれない。

要は、「怪しい」と思った人間に声を掛けられず、防犯カメラを確認したところ黒だった。という話。

 

犯人はすぐ近くの中学校の生徒。

夕方に一度、友人と思しき少年と二人で来店し、お菓子のコーナーなどを見て何も買わずに出て行った。

うちの店では一日に何度も来店する客や何も買わずに出ていく客は珍しくないので、雨宿りか涼みに来たのだろうと,そのときは思っていた。

 

20時を過ぎた頃、再び少年はやってきた。今度は一人で。

肩に掛けたバッグの紐が片方肘まで下がっているのが気になった。

21時のピークタイムに向け、レジ周りの資材やタバコを補充しつつ店内を見回し、少年に目を向ける。

菓子コーナーと、レジからは死角になる奥の通路を何度も行き来している。

ちらりと少年の姿が見えた瞬間、両手におまけ付きウエハースがいくつか握られているように見えた。

手に持つ量にしては多くないか、と思いつつレジに来た客の対応をする。

レジから客が去り、目で少年を探す。菓子コーナーの隣の通路に見えた少年の両手は空だった。

 

おや…?

 

ウエハースを棚に戻すには菓子コーナーのレジから見える位置に来なくてはいけない。

しかし、私がレジ対応をしている間、少年はおそらくこちらから見える位置へは来ていない。

 

ん……???

 

少年がちらりとこっちを見た。

バッグの肩紐がきちんと方にかかっている。

そこはかとない違和感。

 

少年は私の方を見たり、店内をキョロキョロと見回しながら書籍コーナーへ移動。

立ち読みをするように漫画本を一冊手に取った瞬間、

目が合った。

少年は私から目を逸らさずに小さく頭を下げると手に取った漫画本をそのまま棚に戻すとそそくさと店を出た。

 

追いかけようと一歩踏み出した瞬間、レジに客がやってくる。

日曜の夜ということで店員は私と責任者の二人。

私が迷った一瞬で少年は自転車に乗って去っていった。

 

21時過ぎ、店内が落ち着いたタイミングで責任者に防犯カメラの映像をチェックしてもらう。

 両手に持ったウエハースを鞄に入れていた。

 

やられた。

 

あの動きは絶対黒だと思ったのに。

目が合った瞬間に走り出すべきだった。

足払いを掛けてでもとっ捕まえるべきだった。

目が合った瞬間に小さく頭を下げて誤魔化そうとした態度に一層腹が立つ。

 

その後の店の対応について、いちアルバイトの私には分かりません。

 

とにかく、店員は見ています。

なぜなら、盗まれた数百円の損害がいつか店を潰すかもしれないから。